デュエプレ開発者特別インタビュー(後編)
カード開発・運営:松浦元気

聞き手:神ゲー攻略編集部



2024年12月に5周年を迎えたデュエル・マスターズ プレイス。2025年4月にリリースされた第30弾「最終禁断決闘」によって勝太編が締めくくられた。そして5月には切札ジョー編なる『新章デュエル・マスターズ』へと突き進む。

今回は「デュエプレ開発者特別インタビュー」第2回として、デュエプレにおけるカード開発、及びゲーム全般の企画運営を担当する松浦元気氏に、長いようで短い5年間を振り返っていただきつつ、開発の裏話や、これからのデュエル・マスターズ プレイスについてお話を伺いました。

※本インタビューは後編の内容となります。前編は こちら をご覧ください。



3年目の進化





―――3年目最初のパックとなる第12弾では、『ルナティック進化』を持つ『究極進化』クリーチャーがゴッドに近いシステムで実装されました。こちらはゴッドを実装したタイミングである程度企画されていたのでしょうか。

松浦氏:
あまり想定できていなかったというのが正直な所ですね…。
ゴッドの実装は後悔こそしてないものの、ルール整備や仕様作成が本当に大変で、それこそこの5年間のデュエプレの開発の中でも一番上に来るぐらいヘヴィでした。なので、その時に「『究極進化』にもこのシステム使えるよね」みたいな構想は立てられていなかった、というか考える時間が全くありませんでした。

ただ、ゴッドは練りに練ったギミックだったので、何かに流用はしたいと思っていました。実際に『究極進化』の開発に取り組むタイミングで、ゴッドの仕様に着目し、生まれたのが『ルナティック進化』というシステム、そして《羅月》のクリーチャーたちですね。

そんな『究極進化』ですが、本当はもっと楽しく遊びやすい調整ができただろうな、なんだったらバリエーションを増やすことができたはずだ・・・と思っていました。
当初から『究極進化』の遊びやすさの面に課題を感じており、それを払拭するための手段として『ルナティック進化』を導入しましたが、もっと踏み込んだ調整をすべき部分もあったなと。そして、その勢いでもっとたくさんの『究極進化』クリーチャーの実装にチャレンジすればよかったと、反省しています。

なので、『PLAY'S CHRONICLE PACK』にて、《暗黒神羅凰ゼロ・フェニックス》で『究極進化』のリベンジをすることができて本当に良かったです。《暗黒神羅凰ゼロ・フェニックス》はあの時にやりたかったことを落とし込むことができました。
・・・このカードもこのカードで、ものすごく苦労したのですが(笑)



『リバイバル枠』としてやってきたメイ様





―――そして第19弾では、『究極進化』と同様に、ゴッドに近いシステムを搭載した《眠りの森のメイ様》/《お目覚めメイ様》が実装されました。このカードもかなり反響が大きかったカードではありますが、どういったところから企画されたのでしょうか。

松浦氏:
この頃は「それぞれのパックに懐かしいテーマを入れていこう」という『リバイバル枠』企画がありまして、第19弾のテーマは『ドリームメイト』でした。

デュエプレでは第8弾あたりで《独裁者ケンジ・パンダネルラ将軍》のドリームメイトデッキが活躍していましたが、TCGではエピソード2の時期に《眠りの森のメイ様》を軸にしたドリームメイトデッキがありまして。時期もあっているし、《眠りの森のメイ様》を切り札にしたドリームメイトのデッキで遊べる環境を作ろうと考えました。

ただ、当時の《眠りの森のメイ様》は《フェアリー・ギフト》があったからこそというところがありました。2ターン目に《眠りの森のメイ様》を着地させると凄いぞ、と。デュエプレの《フェアリー・ギフト》はコスト3になった都合、コスト4である《眠りの森のメイ様》のサポートになりません。
そこで閃いたのが、《お目覚めメイ様》との合体でした。1ターン目に《お目覚めメイ様》の状態で出して、2ターン目に眠って《眠りの森のメイ様》になれば、TCGと同じ速度でドリームメイトの展開が実現できる。そして、《眠りの森のメイ様》でバトルゾーンにドリームメイトをたくさん並べて、並べきったら目を覚まして《お目覚めメイ様》で特殊勝利する、というデュエプレならではのデッキを目指したのです。

しかし、その結果、皆さんご存じの結果になってしまいました。ビッグマナデッキのエンジンとして取り込まれる形で、注目を集めてしまったのです。

《眠りの森のメイ様》をマナブーストエンジンとして運用可能なことには気づいていました。TCGでも、主にブロック構築でそういった使い方をするゼニスデッキがありましたから、その使い方をした場合に問題がないかのテストはしていました。
テストの結果、「デッキとして成立するし最速の動きは強烈。しかし、ムラが大きくベストデッキにはならない」という結論だったのですが・・・、実際に蓋を開けてみたら、その想定を大きく上回ってしまいました。

―――当時は1ターン目に《お目覚めメイ様》を出すと、3ターン目開始時点で5マナある状況が作れるという部分がかなり注目されていました。

松浦氏:
はい、話題性もあったと思います。「3ターン目に《超次元リュウセイ・ホール》が唱えられる」というのはとてもキャッチーでしたよね。《母なる大地》との相性の良さもあったでしょう。

―――当時は初手に《眠りの森のメイ様》があるかどうか、リキッド・ピープルであれば《アクア・ガード》があるかどうかで勝率が大きく左右されるような環境だったと覚えています。

松浦氏:
能力変更に至るまでの道のりも難儀なものでした。使用率は想定を超え、なかなか落ちてこないのですが、その一方で勝率は高くありませんでした。勝率49~52%程度で揺れていて、トータルの評価としてはリキッド・ピープルの方が勝率は高く、開発チーム内でも意見が対立。公式大会『デュエプレ選手権』が開幕したタイミングでもあり、即能力変更という判断には至りませんでした。

しかし、『デュエプレ選手権』閉幕後も事態は収まらず。『デュエプレ選手権』優勝を収めたさに丸#BEANS選手の『カイザー刃鬼』デッキには、しっかり《眠りの森のメイ様》が4枚採用されており、当時のベストデッキとしての証明がされました。

この《眠りの森のメイ様》の件は、もっと早く、もっと柔軟に判断をすべきだったと反省しています。チャレンジをする際の検証の仕方について、奇しくも自然のSRの座を託した子に再び教えられる格好となりました。


大変な時期をやり遂げるために





―――また、複数のカードを1枚に合体させるという点では、第20弾で『P'Sドロン・ゴー』を持ったエグザイル・クリーチャーが実装されました。

松浦氏:
エピソード3といえば、アウトレイジとオラクルですよね。
アウトレイジは《暴走龍 5000GT》や《百万超邪 クロスファイア》といった人気クリーチャーがいますが、もちろん忘れてはならないのがエグザイル・クリーチャーたち。これと向き合わずしてデュエプレのエピソード3は成立しないと考えていました。

実は『P’Sドロン・ゴー』の企画自体は、エピソード3のカードリストを作り出す前から考えておりました。オラクルはオラクルでゴッド・ノヴァと向き合う必要がありましたので、もうどちらも複数のカードを1枚のカードに合体させてしまおうと。そうやって遊びやすさと強さを担保する、合体しまくるパックにしてしまおうという構想で仕様書の筆を走らせました。

また、『究極進化』での反省もあり、やれるだけのことはやるぞという気概で臨みました。TCGの競技シーンでの実績が少ないテーマだって、頑張ってデュエプレに落とし込めばきっと羽ばたける、と。
その結果生まれたのが、『P'Sドロン・ゴー』と『P’Sドロン・ゴーV』ですね。

―――結果的には《絶超合金 ロビンフッド》を使った『墓地ソース』、後々には《神聖牙 UK パンク》を使った『火水UKパンク』といった、エグザイル・クリーチャーを使ったデッキが環境に台頭しました。

松浦氏:
『火水UKパンク』は良いデッキでしたねぇ。受けが強く、そしてロジカルに詰めていくデッキでした。
他にも様々な文明を使ったエグザイルデッキも好きでした。第25弾で登場した、《巨大設計図》で大量の手札を確保して戦う『巨大エグザイル』なんか、デュエプレならではのデッキでした。



―――『火水UKパンク』はデュエプレGPにて準優勝に輝きましたね。

松浦氏:
そうですね、デュエプレGPの決勝舞台にエグザイル・クリーチャー主軸のデッキが勝ち上がるなんて、すごく感慨深かったです。

もちろん『P’Sドロン・ゴー』や『P’Sドロン・ゴーV』の調整の結果というのはそうですけど、あそこまで育ててくれたのは本当にユーザーの力です。よくぞここまで磨き上げてくださった、と感謝しています。


悲願のオフライン大会





―――そして5年目、2024年に入ってきたところで、新しい試みが多く始まりました。その1つとして、5月には初の大型オフライン大会となる『デュエプレGP』が開催されました。元々TCGの大会好きであり、当初からオフライン大会を企画していた松浦氏にとって待望の企画だったかと思います。

松浦氏:
このプロジェクトの悲願でした。
プロデューサーの佐戸が掲げているポリシーとして、『ユーザーに近い運営チームでいよう』というのがあります。なので、「DCGなんだしオンラインで良いじゃん」のような考えは捨て、泥臭く全国行脚してでも各地のユーザーに会いに行くくらいの気持ちでオフラインイベントを開いていこう、という考えでおりました。

『デュエプレGP』の当日、本当に泣きそうだったんですよ。ステージ上の解説席に座らせていただきましたが、お客さんの「ウオオオオ!!!」という歓声に感動しちゃって。会場全体の一体感というか、そういう感じがすごく心地よくて。気づいたら、ステージ上の私も一緒になって叫んじゃってましたね(笑)
皆さんと一緒にデュエプレを楽しませていただけたあの時間は、最高に幸せなものでした。今でも思い出すと興奮しますし、こみ上げてくるものがあります。



―――今年9月には幕張メッセという大きな会場で、2回目となるデュエプレGPが開催されますね。

松浦氏:
これは私個人としても悲願でした。
やっぱりTCGからイベントというものに携わってきた人間なので、幕張メッセでのイベント開催というのは本当にやりたかったことの一つで、「やっと叶うな」というところでございます。
冒頭でも触れさせていただきましたが、私自身も選手として幕張メッセで素晴らしい体験をさせていただいた過去があり。幕張メッセで試合をすることの楽しさ、興奮を、是非皆さんにも味わっていただきたかったのです。

そして何より、「やっぱグランプリって言ったら幕張メッセだよね」というイメージがあったので・・・「遂にここまで来れた」という思いでいっぱいです。

―――GPと言うと競技の印象が強くなってしまいますが、昨年のデュエプレGPではアクティビティも多く、まさに「お祭り」といった雰囲気でした。

松浦氏:
そうですね。ただのGPではなく、『デュエプレのGP』なので。デュエプレらしさ溢れるお祭りにしようということで、クボ研究員をはじめとしたイベントチーム一同で創り上げました。

昨年の5月に開催した際、ベルサール秋葉原にご来場いただいた方なら分かっていただけると思いますが、デュエプレならではの要素がふんだんに散りばめられていて、なおかつ競技イベントとしてむちゃくちゃ盛り上がるものになっています。

あのステージのあの大興奮が、さらに規模をパワーアップして開催しますので、本当に来れる人みんな来て欲しいですね。一緒にあのグルーヴ感を味わいましょう!一緒に全員で「デュエマスタート!」を叫びましょう!本当に最高の空間なので!



大会ではないオフラインイベント





―――オフラインイベントに関連しまして、今年2月に初のオフラインファンイベントとして『デュエプレフェス』が開催されましたね。会場全体がすごく盛り上がっていました。『デュエプレフェス』の盛り上がりを見て、いかがでしたか?

松浦氏:
こちらもお客さんの熱量が凄くて、ステージの袖で感激してました・・・!

『デュエプレフェス』自体が、凄いチャレンジでした。カードゲームというコンテンツにおいて、大会というものは当たり前になったと思いますが、大会ではないイベントというのは未開拓な部分が多いと思っていて。
特にデュエプレでこのような催しをやったことなんてございませんでしたから、果たして大会ではない『デュエプレフェス』って成立するのだろうか、皆さんに来ていただけるのかな、と。

結果的にはめちゃめちゃ盛り上がってくれて、本当に安心しましたし、また感動してしまいました。特にデュエプレのオリジナルキャラクターの設定資料やグッズをお求めになられている方が多かった印象で。いろんな意味で、『デュエプレ』としてのイベントを開催できて、本当に良かった。
夜を徹して頑張ってくれた、クボ研究員をはじめとしたスタッフの皆さんにも本当に感謝です。

いやぁ、今でも思い出しますね、『ヒーローズセット』の情報公開でサンマッドとアダムスキーが映った時の「ウオオオオ!!!」って歓声が。



―――デッドゾーンだけ先行で実装されていたというのもあり、かなりの歓声が響いていたのを覚えています。

松浦氏:
あの時の歓声は思い出すと今でも鳥肌立ちますね!
そんな『デュエプレフェス』、そして『デュエプレGP』を経て、プロデューサーの佐戸が掲げるポリシー『ユーザーに近い運営チーム』に少しでも近づけたんじゃないかなと思います。


デュエプレの歴史を商品にする





―――そして2024年の7月には『PLAY'S CHRONICLE PACK』というお祭りパックがリリースされました。こちらはどういった経緯で企画されたのでしょうか。

松浦氏:
『LEGEND OF PLAY‘S』のところでもお話ししましたが、私は常々「デュエプレらしい商品を作りたい」と考えていました。デュエプレらしい商品というのは様々なアプローチがあると思うのですが、その中で一番やりたかったのが『デュエプレの歴史の商品化』でした。

デュエプレというのはユーザーが作っているゲームでもあるんですよ。カードプールを作っている私たちが想定していた何倍以上も凄い環境が出来上がるんですよね。
デュエプレの歴史には、ユーザーの皆さんの情熱と閃き、そして愛によって刻まれた軌跡が無数にあって。それを商品という形で改めて具現化したかったんです。
そして、その思いを盛り込んで企画したのが『PLAY'S CHRONICLE PACK』です。

これまでデュエプレを支えてくださったユーザーの皆さんの軌跡と、それを彩ってきたオリジナルキャラクターたち。この2つがあってこそのデュエプレであり、それを体現する商品を作りたいんだと、企画提案する時にめちゃめちゃ力説しました(笑)

―――そんなデュエプレの歴史を体現するパックということで『PLAY'S CHRONICLE PACK』が生まれたと。歴史と言うと、《剛撃霊樹 タイタニス》や《光智の精霊ルミリエ》といった、かつてのデュエプレで活躍したカードのリメイクが登場しましたね。

松浦氏:
『PLAY'S CHRONICLE PACK』の企画時点から、《二角の超人》と《光輪の精霊 ピカリエ》の2枚は意地でもリメイクするぞ!と決めていました。第1弾の時点でデュエプレがデュエプレである所以を作ったカードたちなので。

リメイク以外では、「あの時デュエプレに入れたかったカード」もリベンジしたいと思っていました。
『探索』の都合で諦めていた《クリスタル・メモリー》、どうやったら山札すべてを見ない形で落とし込めるだろうと必死に考えて、ようやく落とし込めたのがあの姿。
実は、《バジュラズ・ソウル》は第5弾あたりで実装しようとチャレンジしたことがあります。結局クロスギア自体が転生編(ジェネレート・ギア)の間に実装できなくて、戦国編まで掛かってしまいました。あの時は全然違う姿になろうとしていました。
《究極銀河ユニバース》に《ザ・ユニバース・ゲート》、それから・・・。すみません、語り出したらキリがないですね(笑)


カノンのためのオリジナルカード





―――そして、そんなデュエプレの歴史を体現するパックの看板として登場したのが《神聖貴 ニューゲイズ》でした。

松浦氏:
『PLAY'S CHRONICLE PACK』は、カノンの新スキンを一つの看板として置いておりました。《神聖貴 ニューゲイズ》は、そんなカノンのために作ったオリジナルカードになります。

野島さんと、エピソード2以降のキャラクターとしてカノンとウェディングを企画した時点で、カノンは《神聖麒 シューゲイザー》と組ませようと考えておりました。
エピソード2でウェディングと一緒にストーリーに登場して、先にウェディングがシークレットスキンに。その後のエピソード3のタイミングで、《神聖麒 シューゲイザー》とともにシークレットスキンとしてカノンを登場させる想定でした。

《神聖麒 シューゲイザー》はエピソード3でとても人気のカードで、私も凄く好きなカードなのですが、実はカノンと通ずる部分があるクリーチャーだなと思っていたんです。
カノンはストーリー上、クリーチャーを召喚する『ゲート』としての役割を持っていました。祈りを捧げることで『ゲート』を出現させ、異次元と空間を繋ぐことでクリーチャーを呼び出すのです。
それに対し《神聖麒 シューゲイザー》も、手札やマナゾーンからクリーチャーを呼び出す、いわば『ゲート』のような能力を持ちます。共にクリーチャーを呼び出す『ゲート』の使い手ということで、カノンの相棒として《神聖麒 シューゲイザー》は非常に合っていると思っていました。
そんな経緯もあって、カノンのためのオリジナルカードを作るのであれば《神聖麒 シューゲイザー》のリメイクでしょうということで、開発を進めていきました。

開発の過程で何パターンも能力を試したのですが、とにかく普通のことをやってしまうと《神聖麒 シューゲイザー》の廉価版みたいになってしまう。なので、《神聖麒 シューゲイザー》としての特徴はしっかり残した上で、全く違うアプローチをしたいというのが念頭にありました。

カノンは最初ウェディングに育てられていたのですが、お話が進む中でルピコたちと出会って、新しい感情や経験を得て、さらに成長していきます。 そんなカノンの成長していく様にヒントを得て、『文明が増えることで出力が上がっていく』というデザインに至ったのです。

ただ、それだけだと《神聖麒 シューゲイザー》と比べた時まだ見劣りするデザインになったり、もしくは元のデザインからかけ離れたものになってしまったりしました。手札やマナゾーンからの出力では、限界があるなと。ならば、もういっそのこと超次元ゾーンを『ゲート』で繋いでしまおうとの考えに至りました。



―――『文明の数によって強くなる』という要素を能力に落とし込んだという点では、5周年のタイミングで登場した《「誣」の頂 ウェディング・イノセンス》にも通じる部分がありますね。

松浦氏:
そうですね、カノンの《神聖貴 ニューゲイズ》と非常に対照的です。
やっぱりウェディングは『無色至上主義』なので、無色以外は…というキャラクターです。もちろん、スト―リーではルピコたちと打ち解けましたし、仲間になってくれましたけども、ウェディング本来の性質は『無色至上主義』なので、その要素を突き詰めて『他の文明を排他する』という、カノンの《神聖貴 ニューゲイズ》と対になるようなデザインにしました。


軽量化アップデート





―――そして2024年の8月には、ゲームの軽量化アップデートがありました。1ユーザーとして待望のアップデートだと感じておりましたが、こういったゲームシステム自体の改善を進めていく中で特に苦労された点はどこでしょうか。

松浦氏:
長年やりたい、やらなければならない、と戦い続け、ようやく実現できたアップデートでした。
既に長期間運営してきたアプリで、基盤から見直すなんてことはなかなかやらない、やれないんです。本当にものすごくコストが掛かりますから、私のようなディレクターの立場の人間が決められるような次元のお話しではありません。これは、プロデューサーの佐戸がGOを出してくれたことにより実現したのです。
GOが出た後はすぐにプログラマーさん、プランナーさん、そしてデバッカーの皆さんで改善チームを結成していただき、それはそれは大急ぎで取り掛かっていただきました。もう何年もユーザーの皆さんをお待たせしてしまっていた部分でもありましたし、1日でも早くお届けしなければと、本ッ当に頑張っていただきました。

こういった改善を実行できたのは、皆さんにいっぱい遊んでいただけたからということに他なりません。皆さんのお力添えがあったからこそ、この軽量化アップデートを行うことができました。運営一同、心から御礼申し上げます。
ただ、まだまだ良くしたい箇所はたくさんあります。踏み出したからには、これからもとことん改善していきます。


《禁断 ~封印されしX~》実装の苦労





―――5周年が近づく中2024年9月には《禁断 ~封印されしX~》が実装されました。こちらは過去に存在しないシステムということで、またイチから開発といったところだったのでしょうか。

松浦氏:
ゴッドに匹敵するぐらい大変でしたね・・・特に『封印』は、TCGでもルールが非常に複雑です。特にクリティカルだったのはバトルゾーンの上限でした。バトルゾーンがクリーチャー7体で埋まっている状況で、それらが全部封印されてしまったら『詰み』が発生してしまいます。

―――TCGと同じ「同じ文明のコマンドでのみで『封印』を外せる」というルールでは事実上の完全ロックが生まれてしまうと。

松浦氏:
ならばどうするかというところで、すごく悩みました。少なくとも、そういった詰み方だけは絶対にさせたくないので、抜け穴を用意することはマストでした。
様々な方法を試してみて、最終的に今の「5マナを支払うことで『P’S封印』を墓地に置ける」というルールで落ち着きましたが、このルールを使う頻度は高くないので、検証にはかなり時間を要しました。

『P‘S封印』は、プログラマーさんやプランナーさんにもかなりの負担を強いてしまいました。
新しいギミックを実装する際は、いつも私の方で起こした仕様書をもとにご説明させていただくのですが、この『P’S封印』は本当に何百件とプログラマーさんからお問い合わせをいただいてしまいました。
それこそ、TCGのグランプリでも聞かれないぐらいニッチなカード同士の組み合わせを聞かれて「あっ…わからない…」となってしまうことも度々あって。
DCGを開発していくうえで、すべてのカードの組み合わせで起こり得ることに対し、期待結果を定めなければならないのは当然のことですが、『P‘S封印』はその影響範囲があまりにも広かったです。

この《禁断 ~封印されしX~》の実装を経て、半年後には《FORBIDDEN STAR ~世界最後の日~》の実装を迎えるのですが・・・。これはまた別の機会に。


感動したデッキたち




―――そうして、デュエプレは5周年を迎えました。この5年という期間で数多くのデッキやドラマが生まれてきたと思います。少しお聞きできればと思いますが、開発者として松浦氏の中で特に印象に残っているデッキはありますか。

松浦氏:
はい!!少しと言わず、たくさんお話しさせてください!!これを語りたくて今回のインタビューを受けたといっても過言ではないので(笑) 一応開発者でもあり、デュエル・マスターズ大好きおじさん、大会大好きおじさん、ランクマッチ大好きおじさんの目線で見て感動したデッキ、それはもうたっっくさんありましたね。

■《超神星ネプチューン・シュトローム》入り『ヘブンズ・ゲート』



松浦氏:
忘れもしないです。《ヘブンズ・ゲート》で展開したエンジェル・コマンドの上に《超神星ネプチューン・シュトローム》が降臨する光景は本当に衝撃的でした。
それまで、《超神星ネプチューン・シュトローム》はあまり活躍ができていなくて、もうちょっと調整できたのでは・・・と思っていたところでした。ところが、まさかの《ヘブンズ・ゲート》に採用されて、実際にランクマッチの高レート帯にて《超神星ネプチューン・シュトローム》の『メテオバーン』で相手のバトルゾーンを吹き飛ばしている姿を見れたのは嬉しかったですね。

■《ヘブンズ・ゲート》入り『エンペラー・マルコ』



松浦氏:
『BATTLE ARENA 5th』で優勝された、たかし屋選手のデッキですね。
《エンペラー・マルコ》で手札を増やしながら、その増やした手札を《ヘブンズ・ゲート》の出力に変換するというデッキでした。《ヘブンズ・ゲート》が攻めにも守りにも運用できて、めちゃくちゃ頭良いなと感心しました。そりゃ優勝するわ、と(笑)
《連珠の精霊アガピトス》で山札から出てくる《電磁星樹アマリンα》が《エンペラー・マルコ》の進化元になるというも、非常に嚙み合っていました。
デュエプレは黎明期から『火光水』のビートダウンが活躍してきましたが、《ヘブンズ・ゲート》まで取り込んだのは凄い。

■『グレートメカオー』



松浦氏:
この光水グレートメカオーがあったからこそ、《超神星ヴィーナス・ラ・セイントマザー》や《超神星マーキュリー・ギガブリザード》といったフェニックスを羽ばたかせることができました。
バトルゾーンの上限まで展開して、それを『進化GV』で畳んでまた展開して・・・と、とてもテクニカルで、それでいてヒロイックさも兼ねた良いデッキでした。
《歌唱愛機サリア》や《無敵巨兵スパルタンJ》などの強化パーツを手に入れたことで、今でも現役だったりしますが(笑)



それはさておき、ここでお話ししたいのはやはり『5色グレートメカオー』ですね。あれは本当に、『天才』の一言です。極神編終盤は5色がテーマで、そこで登場したのが《月光電人オボロカゲロウ》と《機械提督デリンダー》でしたが、この子たちの種族はグレートメカオーなのです。
《星龍パーフェクト・アース》と《超神星ヴィーナス・ラ・セイントマザー》が共存するデッキが台頭するなんて、夢にも思っていなかったですね。

―――『5色グレートメカオー』については、公式大会『BATTLE ARENA』の解説でも当時お話されていましたね。

松浦氏:
この『5色グレートメカオー』は本当に感銘を受けまして、「是非紹介させてほしい!」と番組スタッフに相談してしまいました(笑)

■『火水サムライ』、『光闇火ナイト』



松浦氏:
第10弾から登場したサムライやナイトを輝かせることができて嬉しかったですね。
TCGの戦国編にて発売されたスーパーデッキ、『BATTLE of YAMATO魂』と『Arcadias騎士団』が本当に好きだったんですよ。やっぱり、当時遊んでいた身からすると、スーパーデッキって本当に特別で。《ボルメテウス・剣誠・ドラゴン》と《魔光大帝ネロ・グリフィス》を活躍させることができて本当に嬉しかったですね。



『Arcadias騎士団』でいくと、『BATTLE ARENA 7th』で優勝された業者選手の光闇火ナイトも。『Arcadias騎士団』の基盤に《暗黒皇グレイテスト・シーザー》と《超銀河弾 HELL》を入れるなんて夢を見すぎかな?と思いつつ開発していたのですけど、見事にそれが環境デッキになったのは本当に感動しました。

■『闇単死神』



松浦氏:
正直、『白騎士』と『死神』はかなり心配していたテーマでした。TCGの競技シーンでの活躍実績が少なく、難しい能力が多い印象でしたので。
でも、神化編から覚醒編に繋ぐにあたり、白騎士と死神は避けて通れないと思っていたので、超次元ゾーンの実装と並行して開発に乗り出しました。

白騎士は、あの時代の『New Division』に《ヘブンズ・ゲート》がなかったので、その代わりとして《白騎士ゲート》で遊んでいただこうというところにすぐ落ち着きました。
反面、死神はそういったキャッチーな部分がなく。どうにか《死神明王 XENOM》でフィニッシュするコントロールを組めるように調整したものの、ちゃんと遊んでいただけるか心配していました。
結果、ものすごく研究していただけて。《死神盗掘男》でデッキをゴリゴリ回していただけて、本当に報われましたね。苦労した分、あそこの感激はひとしおでした。

―――黒単死神は《死神城 XENOM》を入れるかどうかという部分でかなり割れていた印象があります。

松浦氏:
もはや、その議論が巻き起こったこと自体が本当に嬉しかったです・・・!

■《デッドリー・ラブ》入り『スノーフェアリー』



松浦氏:
《ダイヤモンド・ブリザード》率いるスノーフェアリーというデッキは、デュエプレの歴史を語るには欠かせない存在ですが、その中でも最も印象的だったのはこのタイプです。

闇自然で《復活の祈祷師ザビ・ミラ》と組み合わせることは事前に把握していました。あれだけクリーチャーを展開できるデッキですから、《復活の祈祷師ザビ・ミラ》と相性が良いのは間違いないと。ただ、《デッドリー・ラブ》搭載型がベストデッキとなるというところまでは想定できていませんでした。

いくら強い《ダイヤモンド・ブリザード》といえど、天敵みたいなカードは存在していました。《勝利のリュウセイ・カイザー》や《停滞の影タイム・トリッパー》は最たる例ですね。《永遠のリュウセイ・カイザー》も召喚されてしまうとなかなか難しい状況になってしまいます。
そんな天敵を《デッドリー・ラブ》で簡単に対処し、破壊したスノーフェアリーは《ダイヤモンド・カスケード》で回収できる。美しいシナジーでした。

■《サイバー・N・ワールド》入り『鬼流院 刃』



松浦氏:
『GRAND MASTER決定戦 2022』で消毒マニア選手が使用した《サイバー・N・ワールド》入りの《若頭 鬼流院 刃》、あれも良いデッキでしたね!

―――絶対王者のBorsalino選手を本当にあと一歩ところまで追い込んだ素晴らしいデッキでしたね。

松浦氏:
そうですね。あの《若頭 鬼流院 刃》は本当にセンセーショナルでした。《若頭 鬼流院 刃》は当時そこまで注目されていなかったのですが、あの戦いを皮切りに使用率が増えていきました。

■『サインシューゲイザー』



松浦氏:
サインシューゲイザーは素晴らしいデッキでしたね、めちゃくちゃ好きでした!
私がTCGのプレイヤー時代にこんな感じのデッキで全国大会の切符を手に入れたことがあるというのもあって、すごく手に馴染んで、使っていて面白かったです。

こんなことを私の立場で申し上げてしまっていいのかわかりませんが・・・、正直、《インフェルノ・サイン》のDP殿堂は本当に悔しかったです。サインシューゲイザーは間違いなくユーザー発のデッキなんです。開発チームが意図して作ったデッキではありません。
そんなユーザーが作り上げたデッキのコンセプトを折るようなことをしなければならなかったのは本当に心苦しくて、心が抉られるような思いでした。ほろ苦く、勉強させていただきました。

■『ワラシベイベー』



松浦氏:
《超幻影 ワラシベイベー》は、ユーザーの研究の賜物のようなデッキでした。

第25弾で実装した時、《超幻影 ワラシベイベー》に関するいろんな声がありました。でも、次の第26弾で《獣軍隊 キンコング》、そしてその次の『PLAY'S CHRONICLE PACK』では《剛撃霊樹 タイタニス》の実装が決まっておりました。
ですが、「もうその頃には《超幻影 ワラシベイベー》で遊んでもらえないかもしれない」とも思っていました。

当時は《轟く侵略 レッドゾーン》、《龍覇 サソリス》、《デュエにゃん皇帝》の三すくみのような状況で、それ以外のデッキが台頭するのが難しい環境となってしまっていました。しかし、そんな中でも《超幻影 ワラシベイベー》を研究されている方々がいらっしゃって、《剛撃霊樹 タイタニス》の登場で遂に羽ばたいてくれました。研究してくださった皆さんに、とても感謝しています。

―――当時は《デュエにゃん皇帝》への対抗がなかなか難しいと感じていた中で《超幻影 ワラシベイベー》が出てきたので、かなり感動した記憶があります。

松浦氏:
当時は、例えばサソリスが手札破壊対策で《舞闘の面 パンサ》をデッキに入れたり、レッドゾーンが溜める動きをできるように《超次元ボルシャック・ホール》を厚く採るみたいな調整ぐらいでしか環境が動いていなくて、次のパックが来るまでしんどい思いをさせてしまっていると落ち込んでいたタイミングでした。そんな中、よくぞ研究してくれました。感謝です本当に。

■《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》入り『5色コントロール』



松浦氏:
あまりにおしゃべりしすぎているので、最後に1つだけ。『BATTLE ARENA 2024 AUTUMN』準優勝の、がちモッフル選手が使用した《禁断 ~封印されしX~》と《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》を採用した5色コントロールデッキですね。

―――実装されたばかりの《禁断 ~封印されしX~》を上手く盛り込んでいたデッキでしたね。

松浦氏:
《禁断 ~封印されしX~》で山札枚数を減らすことで早期に《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》の真価を発揮させるといったギミックなのですが、あのデッキを語るにはこのギミックだけには留まりません。
5色コントロールならではの対応力はそのままに、あの環境に適合した尖り方をしていると言うか。環境の分析力がなければ、あの48枚には辿り着かないなと感動しましたね。

松浦氏:
この5年間で本当に良いデッキがたくさん生まれましたし、これから先も新しいデッキ、開発メンバーですら見知らぬデッキが生まれることを、開発者として、そしてデュエル・マスターズ大好きおじさんとして期待しております。



#デュエプレデッキビルド杯





―――デッキ繋がりでお聞きできればと思いますが、5年という期間で数多くのデッキが生まれた中で、とりわけ新しい発見を目にする場所として『#デュエプレデッキビルド杯』の存在があるかと思います。開発チームの方は『#デュエプレデッキビルド杯』で投稿されたデッキを見られているのでしょうか。

松浦氏:
もちろんめちゃくちゃ見てます!もう毎回、一同で関心したり大笑いしたりしながら拝見させていただいております。
この間なんか、《Dの機関 オール・フォー・ワン》を展開することで《霊樹 トントンY》のパワーを6000にして、その《霊樹 トントンY》で攻撃する時に《超幻影 ワラシベイベー》に侵略して、《Dの機関 オール・フォー・ワン》のDスイッチで《超幻影 ワラシベイベー》の能力を2回使うってデッキが投稿されていて。
「確かに!!」って拍手してました(笑)ホント天才がいっぱいいるゲームです。

デッキビルド杯の投稿で、よく開発の方から「この効果処理合ってますか?」って連絡が来るんですよ。その度に「合ってる!?確かにそうなる!?」って気付かされています。

―――『#デュエプレデッキビルド杯』では、毎回癖の強い投稿例デッキが投稿されていますが、こちらは松浦さんが作成されているのでしょうか。

松浦氏:
最初は私が組んでいたりもしました が、今は殆ど開発メンバーの子が担当しています。クボ研究員の後輩くんですね。

事前にクボ研究員の後輩くん本人に話を聞いてきたのでそちらをお話すると、皆さんにデッキを組んでもらう上で、「公式に負けないくらい面白いものを作ってやるぜ!」と刺激になるものを、一参加者として頑張って作っているようです。
ただ、「考えていたデッキが公式の投稿例で先に投稿されてしまった!」と、アイディアを奪われてしまったような気持ちになることがなるべくないように、 ちょっとだけ尖ったデッキ を作っている、とのことでした。

デッキビルド杯は、あまりに白熱してしまった結果、開催形式を変更せざるを得なくなってしまいました。このことに関しては、本当に申し訳なく思っています。
苦渋の決断で形式を変更したのですが、今も変更前と変わらずたくさんご投稿いただいていて、私もクボ研究員の後輩くんも本当に嬉しく思っています。

このデッキビルド杯を通して、デッキを組むことの面白さや、自分で組んだデッキで対戦する楽しさ、それらを人と分かち合うことの嬉しさを感じていただけていたら嬉しいですね。


まだ実装されていない能力たち




―――この5年間というところでは、TCGの『ニンジャ・ストライク』のように、デュエプレではまだ実装されていないテーマや能力があります。これらのテーマや能力は今後実装される可能性はあるのでしょうか。

松浦氏:
可能性は十分ありますね。
第9弾EXの『サバイバー』や第10弾の『クロスギア』のように、TCGの登場時期から少しズレてしまってでも、デュエプレへの実装はできるだけやりたいと思っています。
実は、当初『サバイバー』は第2弾で収録しようと考えていました。しかし、黎明期に実装するには少し複雑すぎるだろうということで見送ったんです。

―――確かに『サバイバー』は実装遅かったですね。なんなら『ウェーブストライカー』のほうが先に実装されていました。

松浦氏:
先に『ウェーブストライカー』を実装する形になり少し悔しい思いをしましたが、第9弾EXでリベンジし、『サバイバー』の実装を果たせました。
第9弾で《エンペラー・マルコ》の進化元として《電磁星樹アマリンα》を先に実装しておいて、その《電磁星樹アマリンα》が悪戯に『O.V.E.R.Evo.』を起動させてしまった結果、時を越えて『サバイバー』が登場する。カード開発からティザームービー制作まで、めっちゃ燃えながら企画してました(笑)

そういった感じで、私は入れられなかったテーマも出来る限り実装したいと思っているんですよ。
なので当然、『ニンジャ・ストライク』も入れたいって思いは常にあります。皆さんも恐らくお察しなのではないかと思いますが、『ニンジャ・ストライク』を実装する上での課題は山々です。
実は既に何回も開発をチャレンジしたのですが・・・結局全部見送りになっていました。やはり壁が厚かったです。どれも違うベクトルで調整していきましたが、まあどれもダメでした・・・。

でも、そういった「入れられなかったテーマ」を実装するためのチャレンジというのは、絶対に継続していきます。いずれうまく落とし込めた時には皆さんにお披露目できると思いますので、何卒、ご期待ください。


新章のカードについて





―――ここからは、「今後のデュエル・マスターズ プレイス」について伺わせていただきます。近々実装される第31弾から、TCGでいうところの『新章デュエル・マスターズ』、切札ジョーくんの時代へ突入していきます。どういったテーマやカードが収録されるのかをお話しいただけますでしょうか。

松浦氏:
はい、遂にですね。勝舞くん、勝太くんの時代を経て、いよいよデュエプレはジョーくんが中心となる時代『新章デュエル・マスターズ』に突入します。
ストーリーも、ルピコたちがデュエマシティを飛び出して、もう既にノインたちの世界『アカデミー・ホウエイル』に飛び立ったところですね。

―――ストーリー内でも「おっ!」となるような名前もチラついていましたね。

松浦氏:
そうですね。まさにジョー篇のカードたちがどんどん飛び出してきます。ジョーカーズをはじめとした新しい種族が出るのもそうですし、大きなところでいくと『NEOクリーチャー』という新しいカードタイプが登場します。これも中々実装が大変で、今鋭意制作中ですけども…(笑)

この『NEOクリーチャー』ってかなり革新的なんですよね。バトルゾーンに上限のあるデュエプレでは、TCG以上に進化クリーチャーが活躍してきました。上限があるからこそ、バトルゾーン1つあたりのバリューが重要になりますから。
この『NEOクリーチャー』は普通のクリーチャーとして出しても良いですし、指定されたクリーチャーの上に重ねるという進化クリーチャーとしての運用もできるんです。端的に言うと、ものすごく便利な進化クリーチャーといったところですね。

それこそ《死神術士デスマーチ》や《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》を使ったことがある方なら分かると思いますが、どの文明でもスピードアタッカー的な運用ができるカードってすごい使い勝手がいいですし、相手からすると脅威なんですよね。それが全ての文明、もちろんジョーカーズも含めて配られますので、試合展開がかなりアグレッシブなものになっていくと思います。

そして、カード開発チームとしても、これからまた新しいチャレンジはどんどんしていくつもりです。デュエプレならではのジョー篇、『新章デュエル・マスターズ』をお届けしていきたいと思っております。


新たに実装されるオリジナルカード




―――デュエプレならではの新章というところですと、第31弾でもデュエプレオリジナルのカードは引き続き実装されるのでしょうか。

松浦氏:
はい。もちろんございます。今回は第31弾で登場するデュエプレオリジナルカードを1枚ご紹介させていただきます。



松浦氏:
《フェリックス・ミザリィ》というデュエプレオリジナルカードになります。こちらは先日公開の新章ストーリーで登場したキャラクター、ノインの切り札となるカードですね。
ノインの相棒と言えばデっちゃんなんですけど、ノインの世界の人たちは魔法を習っていて、召喚魔術が使えるんです。そのノインが使役・召喚するクリーチャーをイメージして作ったのが、この《フェリックス・ミザリィ》というクリーチャーです。

こちらのカードは先ほどご紹介した『NEOクリーチャー』なので進化としても出せるし、そのままクリーチャーとしても出せるようになっています。

―――進化クリーチャーとして出す場合はコスト軽減が入るのですね。

松浦氏:
《ランド覇車 ガンブルマン》というNEOクリーチャーがいるのですが、この子は『NEO進化』することを選ぶと、コストが下がるという能力を持っています。デュエプレでは、この《ランド覇車 ガンブルマン》以外にも、一部の『NEOクリーチャー』にその能力を搭載しておりまして、そのうちの1枚が《フェリックス・ミザリィ》です。
基本は6コストですが、『NEO進化』するなら4コストで召喚できます。

―――4コストとなると、早ければ3ターン目には《フェリックス・ミザリィ》が着地してくるような状況を作れると。

松浦氏:
そうですね。《一撃奪取 ブラッドレイン》や《一番隊 バギン16号》を2ターン目に召喚できれば、そのまま3ターン目に『NEO進化』することだって可能です。

―――また少し触れていましたが、マフィ・ギャングは新しい種族ですね。

松浦氏:
そうですね、マフィ・ギャングという種族は既にストーリーでも出てきていますが、こんな感じのおどろおどろしいクリーチャーたちです。命を扱うことに長けており、特に「命を絶った上で蘇らせる」といった残酷なことするクリーチャーたちで、《フェリックス・ミザリィ》もそれを体現するような能力を持っています。

まず、自身のバトルゾーンに闇のクリーチャーが2体いれば、墓地から蘇ってきます。さらに、攻撃する時に山札から2枚のカードを墓地に置く・・・命を2つ絶った上で、6コスト以下の闇のクリーチャーを1体蘇生するという能力を持っています。

―――強力なカードですね・・・!こちらのサポート的なカードも収録されるのでしょうか。

松浦氏:
もちろん、マフィ・ギャングと相性の良いカードがたくさん収録されます。それこそ『闇単マフィ・ギャング』、ノインが使役するようなマフィ・ギャングのカードで固めたデッキも楽しめると思います。
それ以外にも『NEOクリーチャー』自体の自由度がかなり高く、種族や文明の垣根を越えて色んなデッキが組めるでしょう。

―――かなり環境の高速化が進んで行きそうなところですが、TCGではこのタイミングで踏み倒し対策、いわゆる『メタカード』が多く登場した時期でした。デュエプレでもそういったカードが追加されるのでしょうか。

松浦氏:
この『新章デュエル・マスターズ』では本当にたくさんのメタカードが登場します。《異端流し オニカマス》や《デスマッチ・ビートル》といった有名なクリーチャーたちが、遂にデュエプレにもやってきます。

ジョーくんたちのカードが沢山やってきて、勝太くんたちのカードに戦いを挑むといった構図になると言いますか。そのジョーくん陣営の一員として、《フェリックス・ミザリィ》は貢献してくれるのではないかと期待しております。

―――この《フェリックス・ミザリィ》のように、デュエプレのキャラクターにフォーカスしたデュエプレオリジナルカードは今後もどんどん登場していくのでしょうか。

松浦氏:
もちろん登場します。ノインをはじめとした、ストーリーを彩るキャラクターたちのオリジナルカードはどんどん作っていって、デュエプレならでは新章を描いていきたいと思っております。
その皮切りとなるのが、この《フェリックス・ミザリィ》ですね。

そしてもちろん、原作キャラも大事ですので、こちらもどんどん実装していきます。第31弾のリリースのタイミングでは、ドラゴン龍やNo.2たちの時と同じように、パネルミッションのコンプリート報酬としてスキンチップがもらえるキャンペーンを実施いたします。



今回実装するのは、ジョーくん、キラ、ボルツの3人ですね。原作ファンの方も、新章をまだ知らないよという方も、是非ジョーくんたちのスキンをゲットして、新章を楽しんでいただければと思っております。


新種族で是非遊んでみて欲しい




―――先程もお話にありましたが、『新章デュエル・マスターズ』ではジョーカーズをはじめ、メタリカやビートジョッキーなど、種族テーマが多く登場していた印象があります。この第31弾ではどのくらい新種族のカードが登場するのでしょうか。
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松浦氏:
それはもう、たっぷり登場します!『新章デュエル・マスターズ』は今までの種族があまり登場しない分、6つの新種族が大活躍するようなカードプールになっています。

第31弾は、そんな新種族で早速、思う存分遊べるように注力した収録ラインナップになっています。デュエプレの最初の第1弾パックは220種類のカードが収録されておりましたが、第31弾はそれに次ぐ大型パックとなりまして、今回シークレット等を除いて150種類実装されます。

―――普段のパックは100種類前後だったかと思いますので、その1.5倍ほどのボリュームになりますね。

松浦氏:
新テーマ、新種族を遊ぶための要素を取りこぼさないようにギュギュッと詰め込みました。一部の種族をサポートするオリジナルカードもご用意しておりますので、ジョー篇のスタートダッシュを決められるようなカードプールになっていると思います。

―――1弾に次ぐボリュームとなると目新しさの反面、カードを集めるのが少し大変そうですね。

松浦氏:
そうですね、収録カードが多い分、カード集めが大変だ!という話にはもちろんなってくると思いますし、そこで躓いてしまったら面白くない。なので、今回は第31弾と同時にスタートデッキもリリースいたします。



ザックリ説明するならば、『ジョーくんのジョーカーズ』、『キラのメタリカ』、『ボルツのビートジョッキー』です。この3つはTCGで発売された『NEWヒーローデッキ』を再現したデッキで、当時のように皆さんの新章突入をしっかりサポートしてくれることでしょう。
収録カードはすべてアークカードにはなりますが、思い切って『レジェンドカード』に変わる新しいレアリティ『マスターカード』も収録しちゃいました。



そして、これらのスタートデッキは、キャンペーンの結果次第で1つ、全ユーザーにプレゼントさせていただきます!
残りの2つに関してもパネルミッションで稼いだアークポイントを使って交換できるようにいたしますので、是非手に入れていただければと思っております。

また、このタイミングで入ってくる新規の方には、1つと言わずに3つ全てプレゼントします!本当に全部あげます!このスタートデッキでロケットスタートを決めてください!



この3種族以外、例えばムートピアやマフィ・ギャングなど、スタートデッキでは補完し切れていないテーマもありますが、そちらに関してはいつものレンタルデッキをご用意しております。
そちらでもお楽しみいただきまして、新しいデュエル・マスターズの時代を体感してみてください!



―――新章に入り、新しく実装される種族たちが登場していくのが楽しみな半面、今までに登場したクリーチャーや種族たちの強化やサポートは出てこなくなってしまうのでしょうか。

松浦氏:
確かに、種族やテーマは全く新しいものになっていきますが、当然、TCGでジョー篇が始まった2018年ごろの遊び方も再現できるように作っています。当時は《異端流し オニカマス》を入れた『火水ドギラゴン剣』や『火水レッドゾーン』みたいなデッキがありましたね。

《異端流し オニカマス》は単なる一例に過ぎず、革命ファイナルに立ち向かいつつ、革命ファイナルと仲良く一緒に使えるカードもたくさんあります。なので、既存のデッキも当然強化されます。《プラチナ・ワルスラS》なんて、新章の水文明と仲良さそうな顔をしていますね(笑)

この時代は『原点回帰』が掲げられていただけあって、本当にシンプルで強いカードが多いです。そういったカードはいろんなデッキにもフィットしやすい性質を持っています。なので、これまで作ってきたデッキをさらにブラッシュアップしてくれるような要素もたくさん詰め込まれていると思います。

野島さんもインタビューでお話していましたが、新章に飛び込んだからと言って、ルピコたち、守護者たちとお別れということでは全く無いです。デュエマシティは在り続けますし、これまでに出てきたキャラクターたちの物語はまだまだ続いていきます。

『PLAY'S CHRONICLE PACK』の件でもお話しましたが、皆さんがデュエプレの中で紡いでくれた歴史というのも決して忘れておりませんし、むしろそこの掘り下げというは今後もガッツリやっていきたいと思っています。



新しい『デュエル・マスターズ』と、これまで通りの『デュエル・マスターズ プレイス』の面白さとを両立したデザイン。もちろんここまで歩んできたデュエプレの歴史、そしてデュエプレならではの要素も引き続き磨き上げていきますので、是非これから先も楽しみに遊んでいただければなと思います。


ユーザーに向けて




―――カードもイベントもどんどんパワーアップしていくデュエプレですが、ここから6年目、そしてその先に向けて、ユーザーへのメッセージをいただければと思います。

松浦氏:
まず、ここまで遊んでいただきまして、ご愛顧いただきまして、本当にありがとうございます。皆さんのおかげでここまで来られたというのは月並みな言葉ではありますが、本当にそれに尽きます!

野島さんも言っていましたが、『デュエル・マスターズ プレイス』というのは居場所であって、みんなが集まる遊び場なんですよね。

私は、昔から常にデュエル・マスターズで遊ぶ環境を求めていました。
地元にデュエマで遊ぶ場所がなく、自転車で遠くのおもちゃ屋さんの店舗大会に通ったり。夜行バスに乗って他県の大会に出場したり。
最終的には「自分の住む場所にも大会が欲しい」と思って大会を開催し始めて。とにかく『場所』というものに飢えていたんですよね。そういった意味では、もうデュエプレって最高の場所だと思うんです。

『PLAY’S』の由来は、遊ぶという意味の「Play」と、場所という意味の「Place」から来ています。デュエマファンの遊び場であり続けようという思いから、プロデューサーの佐戸が名づけました。
デュエプレは、そんな『PLAY’S』を体現する場所として、本当にいつまでも、皆さんの遊び場としてあり続けたいと思っています。

この5年間でたくさん大変な思いをしてきましたし、それ以上にユーザーの皆さんにもご不便やご迷惑をおかけしてしまいました。アプリゲームというものを長く運営することがどれだけ難しいかということを、運営一同で思い知りました。
正直、サービス終了という言葉を何度か突き付けられたことがあります。皆さんとのお別れを決断しなければならない寸前まで追い込まれた時期だってございました。

それでもどうにかこうにか盛り返して、ここまで辿り着くことができたのは、遊んでいただいているユーザーの皆さんのおかげです。皆さんがこの場所に居てくださったからこそ、我々とデュエプレは今日まであり続けることができました。
そして必死に頑張ってくれたデュエプレ運営チームのスタッフたちにも感謝しなければなりません。プログラマーさんやプランナーさん、ディレクターさん、プロモーションの作成担当やデザイナーさん、本当にたくさんのスタッフたちのお力添えの賜物です。

そういった皆さんに報いるためにも、1日でも長くこの場所を運営できるよう尽力してまいります。
次の使命は10周年を迎えることですね。皆さんと、10周年のイベントでお会いできる日を楽しみにしています!