デュエプレグランプリ2024
準決勝:デデンネ vs. きゅうり

ライター:河野 真成(神結)
撮影:後長 京介



 静寂に包まれた会場で、準決勝の準備が始まる。

 カバレージ卓へとやってきたのは、デデンネきゅうり。デッキはそれぞれ、【光単ヘブンズ・ゲート】【5cM・A・S】だ。

 きゅうりは直前の対戦で、光水の【ヘブンズ・ゲート】をストレートで破っている。
 【5cM・A・S】というデッキは相手の呪文などを封じて戦う訳では無いがリソースが伸びやすく、《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》で盤面をリセットしながら《勝利宣言 鬼丸「覇」》+《ブレイン・ストーム》によって安定したフィニッシュが可能なデッキだ。こうした要素から、【ヘブンズ・ゲート】に対しては有利に戦えると言っていいだろう。
 
 先のようなゲームをデデンネに対しても再現出来るだろうか。

きゅうり「デデンネさんって紙のデュエマの方でも……」
デデンネ「昔ですけどね……」

 ちなみにデデンネが紙のGPで優勝したのは2019年4月。デュエプレがリリースされる、約半年ほど前。
 紙の方ではその後も超CSベスト8やDMGP2023でベスト32など、とにかく大型大会に強い。そして今回のデュエプレGPでも、準決勝まで来ている。
 
 と、そんな話をしていたところで、配信卓の方も準備が終わったようだった。
 
 生放送の掛け声に合わせ、デュエマがスタートする。

Game 1

 先攻:デデンネ


 きゅうりがイヤホンを装備し試合モードに入って、試合開始。
 
 デデンネは3ターン目の《聖龍の翼 コッコルア》スタート。
 対してきゅうりは、返しに《フェアリー・ミラクル》と上々の滑り出し。加えてデッキの上から《龍覇 M・A・S》を落として5色を揃え、2ブーストにも成功。
 4ターン目のデデンネは2体目《聖龍の翼 コッコルア》、そしてきゅうりも《フェアリー・シャワー》と互いに下準備をし、いよいよ開戦の時が訪れる。
 
 ターンを貰ったデデンネはまずは《真・龍覇 ヘブンズロージア》を召喚すると、名刺代わりの《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》を設置。


しかし残る手札は《聖霊王アルファリオン》と《真・龍覇 ヘブンズロージア》。ターン終了時に展開は出来ない。
 《天命讃華 ネバーラスト》は、まだ完成しない。
 きゅうりは《龍素記号Sr スペルサイクリカ》から《フェアリー・シャワー》でマナを伸ばし、複数アクション出来るような準備を整えた。
 
 6ターン目、デデンネのトップドローは《提督の精霊龍 ボンソワール》。
 手札に残っていた《真・龍覇 ヘブンズロージア》をプレイし、《不滅槍 パーフェクト》を装備。そのままターン終了時に《天命王 エバーラスト》に龍解し、更に手札から《提督の精霊龍 ボンソワール》を投下。


 
 しかしこの《提督の精霊龍 ボンソワール》は何も回収することなく、きゅうりにターンが返る。


デデンネ「なっさけねえ……」


 不甲斐ない《提督の精霊龍 ボンソワール》に喝を入れたとて、手札は増えない。
 
 きゅうりはやや少考した後、トップからやってきた《支配のオラクルジュエル》をそのまま手撃ち。《天命王 エバーラスト》を処理しつつ、タップされた《提督の精霊龍 ボンソワール》を《龍素記号Sr スペルサイクリカ》で裁き、《天命讃華 ネバーラスト》への龍解を阻止。
 デデンネがトップドローの《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》を置いたのに対して、きゅうりは続くターンで《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》を召喚。ドラグハードを封じ、蓋をしにかかる。


 手札のないデデンネに対して、《龍覇 M・A・S》の召喚や《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》による除去が通り、きゅうりは勝ちに向けて足場を固めていく。
 
 そして《プロテクション・サークル》から楯を作り、《龍波動空母 エビデゴラス》も龍解させると、《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》で攻撃を開始。


 
 デデンネはここで《ドラゴンズ・サイン》を踏ませ、《護英雄 シール・ド・レイユ》でなんとか耐える。それでも、盤面には《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》が健在だ。
 
 粘りたいデデンネは5枚目のドラグナーとして採用した《龍覇 セイントローズ》を召喚し、《真聖教会 エンドレス・ヘブン》を設置。2枚目の《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》を受けつつ、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》から《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》を出して耐久を狙う。
 
 一方で、きゅうりも困っていたことがあった。
 ずっと《勝利宣言 鬼丸「覇」》を引いてはいたものの、山札を固定する《ブレイン・ストーム》を引かないのだ。
 
 とはいえ、一度大きく手札を与えた以上はゆっくりゲームをしているわけにもいかない。また、山札の残り枚数も心許ない。
 きゅうりは覚悟を決めて、《勝利宣言 鬼丸「覇」》を召喚。
しかし、ジャッジで捲られたカードは奇しくも《ブレイン・ストーム》。



 苦い顔をするきゅうり。無情にも、デデンネへとターンが渡る。
 待望の《天命讃華 ネバーラスト》の龍解が通ると、盤面には《護英雄 シール・ド・レイユ》、《龍覇 セイントローズ》、《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》と4体。
 
 デデンネは《真・龍覇 ヘブンズロージア》を召喚すると、超次元から直接《聖槍の精霊龍 ダルク・アン・シエル》を場に出す。
 これでちょうど、エンジェル・コマンドが5体。そう、ずっと手札に抱えていた《聖霊王アルファリオン》の左上の数字が、0に変わる!



 きゅうりは《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》で1面止めるものの、デデンネの光の軍団が押し切ってみせた。
 
デデンネ「よっしゃー捲ったぞ……」

デデンネ 1-0 きゅうり
 
 所謂“紙”のデュエマのGPと、今回のデュエプレGPの大きな違いを挙げるならば、それは会場が恐ろしく静寂だという点だろう。
 
 試合前は歓談などをすることもあるが、いざ試合が始まれば、全てのコミュニケーションは画面を介して行われることとなる。
 普段ランクマを走っているときは1戦1戦叫んだり騒いだり祈ったり転がったりするプレイヤーも多いことだろうが、さすがに目の前に対戦相手がいる以上、大人しくせざるを得ない。
 
 対戦中、両者は無言で画面を見つめる。独り言や、時には息を呑む音さえ聞こえてきそうだった。
 
 ……そしてもう1つ違いを挙げるとすれば、間髪置かずに第2ゲームが始まることだ。
 

Game 2

 先攻:きゅうり
 
 先攻は先の試合で負けたきゅうり。
 
 ゲームは3ターン目の《ブレイン・ストーム》からスタート。
 対してデデンネは、《トロワ・チャージャー》からの《聖龍の翼 コッコルア》という強力な動き。
 
 4ターン目に《フェアリー・ミラクル》で1ブーストしたきゅうりに対して、デデンネは《真・龍覇 ヘブンズロージア》からの《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》でゲームを進める。

 《聖龍の翼 コッコルア》は返しの《龍覇 M・A・S》でバウンスされるものの、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》から優位を主張していく。

 ここで動きのなかったきゅうり。
 
 デデンネは追加の《真・龍覇 ヘブンズロージア》を建て、《真聖教会 エンドレス・ヘブン》を擁立。1点刻みここで《支配のオラクルジュエル》を踏むが、これはいい。ビッグマナの弱点とも言える《真・天命王 ネバーエンド》を作ることに成功した。



 きゅうりは《龍素記号Sr スペルサイクリカ》から《ブレイン・ストーム》を唱えると《龍波動空母 エビデゴラス》を龍解させ、《真・龍覇 ヘブンズロージア》を踏んでターンを終了。


 
 出来れば早期決着を狙いたいデデンネは、ここで《不敗英雄 ヴァルハラ・グランデ》を投下。そのまま攻め込みにいくものの、1点で野生の《DNA・スパーク》を踏む。

 楯こそ増えなかったものの、《真・天命王 ネバーエンド》の3点が通らず、嫌な展開だ。
 
 《最終龍理 Q.E.D.+》による質の高いドローが出来るようになったきゅうりは、《偽りの王 ヴィルヘルム》を召喚して盤面を盛り返していく。
 
 ここが勝負所をみたデデンネも《真・龍覇 ヘブンズロージア》の召喚から場に出したのは、《龍魂城閣 レッドゥル》!
 これで過剰打点も用意した。



 そして《真・天命王 ネバーエンド》でT・ブレイク……が、きゅうりも黙っていない。ここには2枚の《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》を用意しており、デデンネの打点を止める。



デデンネ「うわー……やるねぇ……」

 ……この声は、イヤホンで自分の世界に没入しているきゅうりには聞こえていないだろうが。デデンネは、ターン終了時に《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》から《護英雄 シール・ド・レイユ》を投下、《最終龍理 Q.E.D.+》のみを選択し、ターンを返す。
 
 きゅうりは《プロテクション・サークル》で《DNA・スパーク》を埋めると、ターン終了。



 デデンネは《ジャスティス・プラン》から手札を増やしてなんとか迫ろうするが、当然《DNA・スパーク》によって、打点は止まる。それでも《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》から先に回収していた《聖霊龍王 バラディオス》を繰り出し、きゅうりの盤面に蓋をする。



 全フリーズを食らったきゅうりだったが、遂に待望の瞬間が訪れた。《ブレイン・ストーム》から《勝利宣言 鬼丸「覇」》を引き込むと、ひとつ頷いてこれをプレイ。



 ジャッジを13に固定し、追加ターンを得ながらシールドを攻撃する。
 
 ここで《ドラゴンズ・サイン》を踏み、《護英雄 シール・ド・レイユ》が出てきたことで《勝利宣言 鬼丸「覇」》は消えてしまう。
 しかしそして追加ターンを得たことで、《聖霊龍王 バラディオス》で止めたクリーチャーたちが一気に起き上がった。
 
 盤面には《偽りの王 ヴィルヘルム》、《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》が2体、そして《龍素記号Sr スペルサイクリカ》に《龍覇 M・A・S》。
 まずは《偽りの王 ヴィルヘルム》で《聖霊龍王 バラディオス》と相討ちすると、《龍覇 M・A・S》で1点。そして、《界王類邪龍目 ザ=デッドブラッキオ》でW・ブレイク!
 
デデンネ「頼むじゃきーさん、俺に力を貸してくれ……!」

 天門の鍵を持つ男の名前を口にするデデンネ。
 
 果たしてそしてその想いは届いたのか、ここでやってきたのはなんと……《ヘブンズ・ゲート》!



 祈りは届き、天命は下った。
 
 加えて、同時にブレイクされた楯が《聖霊王アルファリオン》だったため、なんと返しに封殺しながらリーサルまで見えているのだ。
 
 思わず、身を乗り出すデデンネ。盤面の計算をする。そして冷静に《護英雄 シール・ド・レイユ》と《音感の精霊龍 エメラルーダ》を送り込むと、遂にきゅうりの打点を捌ききったのだ。
 
 返しのターン、デデンネは《提督の精霊龍 ボンソワール》を召喚し、そのまま《聖霊王アルファリオン》へと進化を果たす。

 それは即ち、デデンネの勝利を意味していた。
 

 
 《勝利宣言 鬼丸「覇」》の追加ターンをも凌いだデデンネが、鮮やかな逆転勝ちを決め、見事に決勝進出を決めた。
 
デデンネ 2-0 きゅうり
 
Winner:デデンネ