『デュエプレグランプリ2026』
メタゲームブレイクダウン

ライター:河野 真成(神結)




三度目のグランプリとデッキ分布



 メタゲームブレイクダウンとは、その大会の結果やデータについて分析を行い、解説や推論を述べる、といったような記事だ。
 三度目の開催となったデュエプレグランプリだが、今回の参加者は過去2回を大きく上回る3500名。

 プレイヤーたちが使用したデッキを集計すると、以下の通りであった。



 そして決勝ラウンドへと進出した256名のデッキは以下の通りとなった。



 より細かく分類するならば、《第九魔導執行官 コーラレヒト》のデッキは水自然と水単と光水闇に分かれていたとか、【闇自然デンジャデオン】に分類したデッキの中でも《超機動罠 デンジャデオン/地獄極楽トラップ黙示録》が2枚のみの採用であったデッキなどもあったのだが、今回はあくまで大枠の分類ということでご容赦願いたい。

 両者を比較すると、基本的には予選1回戦時点でのデッキ分布と、決勝ラウンド1回戦時点でのデッキ分布に大きな乖離はない。というより、集計してみてビックリするくらい変化が少なかった。

 その中でも上位デッキを中心に、今大会の模様を振り返っていこう。

火光“B-零朱”レイド


 今大会の使用率最多は、《“B-零朱”レイド》を軸とした火光“B-零朱”レイドであった。
 全体の20%を占めており、それらが順当に勝ち上がったことで、決勝ラウンド出場数も最多となっている。なんなら、決勝ラウンドではその割合が増えているくらいだ(20%→23%)。

 その理由となったのは、事前の段階で最上位と思われていたデッキに勝つことができるからだろう。
 ご存じ【火水闇ダピコ】である。

   【火水闇ダピコ】は基本的にトリガーが少なく、先に6点揃えてしまえば相応の確率で勝ちが約束されるのが大きい。

 またもう1つの仮想敵である【5色ヘブンズ・ゲート】に対しては《奇石 ミクセル》や《奇石 タスリク》などのメタクリーチャーでゲームを優位にしつつ、《“B-零朱”レイド》で仕込んだシールドを割りながらフィニッシュや、或いは《ジャミング・チャフ》で締める、といった動きが可能なため互角に戦うことができる。


 《“B-零朱”レイド》の決定力は言うまでもないが、このメタクリーチャーが相当の曲者であり、特に今大会では使用者によってメタクリーチャーの採用カードが違った点もポイントだった。

 私が集計したところ、決勝ラウンド進出した60名の【火光“B-零朱”レイド】のうち、例えば《絶対の畏れ 防鎧》が52名、《奇石 タスリク》が44名。
 《超次元サプライズ・ホール》+《イオの伝道師ガガ・パックン》は25名で《静謐の啓き 真悠》は12名……と、プレイヤーによって採用に幅がある。


 中でも面白いと思ったのが《静謐の啓き 真悠》で、《奇石 ミクセル》的な役割をこなしつつ、ドローによって《“B-零朱”レイド》を引き込むことが可能な1枚であり、更に高いパワーによって《超神星HADES・ドラゲリオン》や《龍装鬼 オブザ08号》による対処も困難となっている。

 【火光“B-零朱”レイド】は速度があるデッキであるのは間違いないが、メタクリーチャーで固めることでゲームを伸ばし、特定のカードを引くまで我慢するデッキでもある。
 そうした動きにおいて、《静謐の啓き 真悠》はかなり噛み合った1枚だと言えるだろう。

 なおリストの違いはトリガー構成においても同様で、《オリオティス・ジャッジ》を採用したリストから《終末の時計 ザ・クロック》をタッチしたものまであった。これもまた、対戦する相手を苦しめる要因となっただろう。

火水闇ダピコ


 登場以来、常にトップを走り続けていた【火水闇ダピコ】だったが、グランプリの直前になって他のデッキたちがその背中に追い付いた。

 それでもなお、【火水闇ダピコ】は強かった。決勝ラウンド出場数は堂々の2位。TOP8にも2名を送り込んだ。

   長らく環境を支配してきたデッキであるため、リストの最適化は進んでおり、決勝ラウンドに進出したプレイヤーのリストは、38〜9枚まではほぼ共通である。

 その中で光る活躍を見せたのが、多くのリストにピン投されていた《龍装者 バルチュリス》である。


 様々な方法で相手のトリガーをケアしながら攻撃できる【火水闇ダピコ】であるが、その最終仕上げとも言えるのがこの《龍装者 バルチュリス》だ。

 打点の並びやすいこのデッキにおいては、先に1点を刻んでおいて、フィニッシュターンに1点+3点+《龍装者 バルチュリス》というお馴染みのプランを決めたり、或いは《神滅竜騎ネルガルザーク》と併せてトリガーで出てきたブロッカーを破壊しながら突破したりと、噛み合う動きが多い。

   何処かのタイミングで墓地に落ちれば《黒神龍ジョブヴェール》で拾えるため、機能させるための枚数が少なくて済むのも嬉しいポイントだ。

 こうして勝ち上がってきたならにかの【火水闇ダピコ】は決勝の舞台へと立った。
 《堕呪 カージグリ》を受けた上で戦況を立て直し、《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を消費させ、そして《卍・獄・殺》の裏から《神滅竜騎ネルガルザーク》が登場。
 それが《龍装者 バルチュリス》を伴って攻撃……というのは、まさに想定していたシチュエーションだった。

 その瞬間、観戦していたプレイヤーの多くはならにかの優勝を確信しただろう。
 私も当然、その1人だった。

水闇魔導具


 予選と決勝ラウンドのデッキパーセンテージのギャップを考えたとき、もっとも「勝ちデッキ」と評することができるのが【水闇魔導具】だろう。予選での使用割合が7%ほどであるのに対して、決勝ラウンドでは11%と大きく増加している。

 要因として考えられるのは、デッキの安定感だろうか。
 能動的な動きの中では大きな上振れは少ないが、特定のカードを要求されるシーンも少なく、《堕呪 バレッドゥ》や《堕呪 ウキドゥ》といった呪文のお陰でドローにそこまで困るわけではない。
 フィニッシュも《卍月 ガ・リュザーク 卍》でマナを縛って《卍堕呪 ゾグジグス》を唱えるというわかりやすいもので、更に《ティン★ビン》によるハンデスが相手の上振れをある程度消してくれるのも大きい。

 とはいえ、メタゲーム的にみれば【火光“B-零朱”レイド】が最も多く、《奇石 タスリク》などの手痛いカードが広く採用されていることを考えると、決して楽なトーナメントではなかった筈だ。

 こうした厳しい相手に対して有効な切り返しとなったのは、もしかするとシールドに潜む《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》だったのかもしれない。


 これは実況の中でも何度か言及されていたが、6コストで手貼りする《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》はリターンの少ない行動ではあるものの、シールドからトリガーするならば話は別で、《卍堕呪 ゾグジグス》や《堕呪 カージグリ》と併せて数々のプレイヤーのピンチを救ってきた筈だ。

 概ね魔導具呪文には《卍 ギ・ルーギリン 卍》の虚無月の門がセットで付いてくるので、除去+大型ブロッカーが並ぶことになるため、《堕呪 カージグリ》などが見た目以上の固さを持つのがこのデッキだ。

 こうした安定感は決勝ラウンドでも勝利をもたらし、TOP8には最多の3名を送り込んだ。
 そして迎えた決勝戦。第1、第2ゲームの激闘を経た第3ゲームで、《卍・獄・殺》を《神滅竜騎ネルガルザーク》で切り返され、《龍装者 バルチュリス》の宣言でゲームは決着したかと思われた。

   だが最後の最後のシールドに眠っていたのは、《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》。
 【水闇魔導具】を支える魔導具でもドルスザクでもないラストピースが、ちゃんなべに栄冠をもたらしたのだった。

5色ヘブンズ・ゲート


 一方で【5色ヘブンズ・ゲート】は事前の予想からは少し伸びなかったかもしれない。
 過去2大会は共に《ヘブンズ・ゲート》を採用したデッキが決勝まで登り詰めていたが、残念ながら今大会はTOP8には残れなかった。

 《超開拓妖精アジサイ!》や《「獅福」の頂 ライオネル・クローネ》といった強力なカードをふんだんに採用したこのデッキだが、《刻解人形ジェニー・ジェーン》を採用するのが今大会のトレンドであったようだ。


 カウントしたところ、38名のうち27名が《刻解人形ジェニー・ジェーン》採用型である。《ケンザン・チャージャー》で拾えてそのまま出すことが可能。

 これまで《ヘブンズ・ゲート》相手の王道なパターンといえば、先に展開して手札に《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》や《“B-零朱”レイド》といったカードを残すというものであったことを考えると、こうしたプレイを咎められるのも大きなポイントだろう。

 ただメタゲームの性質上、受け寄りのデッキというのは標的にされやすいのも事実だ。

 【火水闇ダピコ】の《神滅竜騎ネルガルザーク》展開であったり、【火光“B-零朱”レイド】の《奇石 タスリク》や《ジャミング・チャフ》であったり、或いは【スコーラー】の《古代楽園モアイランド》など、大会上位を狙うデッキたちは《ヘブンズ・ゲート》に対する対抗手段を用意している。

 長い大会の中では何処かでこうしたカードに引っ掛かってしまうもの。
 今大会では前評判が高かったことも向かい風となり、予選脱落率も他の上位デッキと比べてやや高いものになり、最終的にTOP8に残ることは出来なかったのだろう。

その他

 今大会は結果として1つのデッキが使用率を占有するようなことがなく、比較的多くのデッキが見られることとなった。

 【スコーラー】や【ジョラゴンジョーカーズ】といったある程度想定されていたデッキはもちろんだが、【光水自然カスミ】などは戦前の予想から考えると躍進したと言え、これにはカスミファンもニッコリだろう。

 またTOP8に残ったデッキとして、【轟破天九十九語】が挙げられる。


 こちらは耐久しながら《轟破天九十九語》+《水上第九院 シャコガイル》のコンボを決めるというデッキではあるが、それを支えているのが《ドルツヴァイ・アステリオ》だろう。

 【水闇魔導具】という例外はあるものの、現環境は何かしらのクリーチャーを置いてゲームをするデッキが多いため、《ドルツヴァイ・アステリオ》の通りは比較的良かったように思う。

 また【火水闇ダピコ】や【水闇魔導具】に対して高い勝率を誇る環境最速のデッキ【火単轟轟轟】もTOP8に残った。


 《ヘブンズ・ゲート》など絶対に踏んではいけないカードが一定数存在する中で、グランプリという舞台でこのデッキを使用したことには敬意を表したい。

おわりに



 今大会はフィーチャーエリアにバトルステージが用意されたことで、より臨場感のある形で試合観戦を楽しむことができた。

 結果、今回も多くのプレイヤーが大会の最後の試合である決勝を見届けた。プレイヤーの選択、ドロー、そしてS・トリガーの発動に声を挙げ、そして歓喜し、拍手が湧き起こった。


 デュエプレグランプリは、進化を続けている。
 次回のグランプリでも、きっと新たな世界を我々に見せてくれるだろう。